こちらは、昭和42年にある福祉施設(秋津療育園・東京)に送られた手紙です。
ながい、いやな冬も去り、新しい春が来ました。貴園の子供さんたち、その後いかがでしょうか。私ども自治会の者は、いつも心身に障害を持つお子達のことを、かげながらお案じ申し上げております。
昨年も差し上げました五月の子供の日に、お菓子代としてお役に立てていただけたら存じます(原文ママ)。3万円をお届けいたします。この代金は、当自治会で空き缶やボール箱、紙屑等、当然捨てるものをきれいにまとめて1年間毎月1回、屑やさんに売りました代金でございます。
一寸した心づかいで、捨てないで共同でまとめられて、このように代金が得られ、ゴミも満足であろうというねらいで、永年つづけられている運動でございます。その運動で得たお金を、少しでも有効に使いたいと考えて貴施設の子供さんのためにお送りいたします。
どうぞ意のあるところをおくみとり下さいませ。園長様はじめ、先生方さぞや大変と存じますが、子供たちのためによろしくお願いします。
こちらは都内の自治会の婦人から送られたものです。当時の3万円は、現在の10万円程でしょうか。一般の人々、社会全体の、障害に関する考え方や態度も、今とは違う部分もあったかもしれないと想像します。この手紙に載せられた言葉からは気品と思いやりが感ぜられ、婦人の、または自治会の、または人々の善意が伝わってきます。一つ、古き良き時代の一片でしょうか。
The original text by 社会福祉法人 天童会 秋津療育園
Photo by Monstera “sweet lollipop in form of heart on pink background”