茫漠たる
夜も明けむはや
香の如く
アルゼンチンの詩人、ボルヘスの詩「十七句」の2つ目の句で、「2」が付番されています。
La vasta noche
– Jorge Luis Borges
no es ahora otra cosa
que una fragancia.
直訳としてはこのような感じでしょうか。
果てしない夜も、もはや香りにすぎない。
この漠然とした表現から、色々な妄想が膨らみました。
先の見えない、果てしのない夜も、決して長くは続かない。悲しみや苦悩もかくのごとし。永遠に続くかのようであっても、はかない香りのように、必ず暗闇は消え去る。
さらに言うなら、悲しみや苦しみだけでなく、喜びや楽しみさえも、同じように一瞬で過ぎ去るものなのかもしれません。
また、作者であるボルヘスは目が悪く、晩年光を失ったことから、彼自身の目の中に広がる闇を、香りに例えたのかもしれません。
さらにもう一つ。終わった恋の一夜なのかも…
想像は止みません。
その他の「十七句」:
原文 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
Original haiku by Jorge Luis Borges (1982). La cifra. Alianza
Photo by Marko Obrvan “scenic view of sky at night”